ビジネスの世界だけでなく、個人でも利用者が増えている「NAS(ネットワーク・アタッチド・ストレージ)」。
ネットワークに接続する記憶媒体で、LANに接続して、そのネットワークに参加している複数のデバイスからのアクセスを可能にします。
メーカーや機種により違いはありますが、ファイルやデータの共有が簡単にできたり、フォルダごとにアクセス制限をかけることができること、
そして大容量のデータ保存が可能など、とても便利な機器です。
多くの企業や個人で導入されているNASですが、搭載されているHDDは基本的にPCと同じ構造です。一般的に、HDDは寿命の目安は3〜4年程度と言われていますし、衝撃や熱にも弱く、NASに衝撃が加わったり、停電などで突然故障することもあります。
大切なデータが保存されている、そのNASが突然故障してしまったらどうしたらよいのでしょうか?
今回は実際に行ったNASの復旧事例をご紹介し、故障原因や対策を解説いたします。
出社したらNASにアクセスできない!
兵庫県神戸市の建設会社様から朝一番にお問い合わせをいただきました。
〜お客様からのお問い合わせ内容〜
建設工事現場の事務所内でネットワーク共有していたバッファロー社製リンクステーション/LS-X2.0TLが月曜日に出社するとアクセスができなくなっていました。
再起動をしましたが、状況は改善されず、何度か再起動を繰り返しているうちに、リンクステーション前面のランプが赤く点灯し始めました。状態が悪化してしまったのではないかと不安が募ります。
中には現場で使用するCADデータや作業工程を撮影した写真が多数、その他業務に関わるあらゆるデータが入っており、仕事が進められず非常に困っています。特に現場写真は工事を施工したという証明になり、書面にまとめて提出をしなければなりません。工事は進んでおり、もう一度撮影することはできないため、本当に困っています。
データ復旧をしてもらう事はできますか?また、社内の機密情報が保存されており事務所内から持ち出すことが難しいため、出張での復旧を希望します。
現場に急行し、診断開始!
お急ぎであること、機器の持ち出しが難しいというご事情から、すぐにお客様の元へ伺いました。
お客様から診断のご了承をいただき、バッファロー社製リンクステーション/LS-X2.0TLの外側のケースを外したところ、筐体内部にほこりが多く溜まっていることを確認いたしました。また、内蔵されているHDD自体も高温になっており、非常に危険な状態であると推測しました。
実際に取り出したHDDを診断用の専用機器に接続し、慎重にチェックしたところ、
一部のデータ領域に読み取りができない領域(不良セクタ)が発生していることを確認いたしました。
復旧作業内容
専用機器でHDDの動きを制御し、磁気転写作業(クローンHDDの作成)を行いました。
磁気転写作業とは、障害があるHDDから正常なHDDへ、データの磁気情報を移す作業のことを指し、HDDの障害の進行を防ぎ、HDDの動作を制御しながら、通常では読み込みができなくなっているエラー領域を読み込み、データを取得するために行います。
その後、磁気転写作業を実施したHDDを解析した結果、約1.2TBのデータを復旧することができました。お客様にはその場でデータをご確認いただき、問題なくデータを復旧できていることがわかりました。
特に重要な現場写真やCADデータが復旧できたことで、業務への支障を最小限に抑えることができたと非常にお喜びいただけました。
まとめ
今回ご依頼のバッファロー社製リンクステーション/LS-X2.0TLの故障の原因の一つとして考えられることは、熱暴走です。前述のとおり、筐体内部にほこりが多く溜まっていると内部の熱を放出できずに温度が上がり続けてしまうことがあります。
また、お客様は帰社の際にはエアコンの電源を落としていたとのことで、こちらも温度上昇につながる原因の一つです。
NASや外付HDDなどの精密機器は、熱に弱いものです。
涼しい場所に保管し、内部のほこりは定期的にエアーダスターなどで清掃することで、消失のリスクを低減させることができます。しかし、残念ながらそれだけの方法では全ての故障リスクを防ぐことはできません。
機器が故障するタイミングは誰にも予測はできないものです。常日頃からバックアップを取るように体制を整えておくと、もしもの時には安心です。
株式会社リプラスはバックアップについてのノウハウもございますので、お困りの際はお気軽にご相談ください!
・法人様 建設業(兵庫県神戸市)
・機器概要:バッファロー社製リンクステーション/LS-X2.0TL
・構成:SATA HDD 2TB 1台構成
・症状:ネットワークアクセス不可
・故障原因:ハードディスク障害
・使用用途:現場事務所内の共有ファイルサーバーとして運用